並行輸入を止めさせたい。行き過ぎた並行輸入阻害はどのようなものか。 その1
総代理店等にとって、並行輸入品(※ここでは、「真正商品」を前提としています。)が低価格で販売されることにより値崩れが生じることを防止したいという思いは当然あると思います。他方、並行輸入が正しく行われると、国内市場における競争を促進することから、プラスの効果があると評価されています。そのため、並行輸入を止めさせることは容易ではありません。
そこで、どのようなことができるか、また、どの程度のことをすると法に抵触する可能性があるか、を検討していきます。
(1)価格差
内外で品質に差を設けるという方策が考えられます。これによって、並行輸入品を商標権侵害とする方法です。
この方法のリスクは、最高裁の(3)品質の同一性の要件から、品質の差異を認定してもらえない可能性はありえます。
(2)権利者の同一性
最高裁の(2)権利者の同一性の要件を満たさないようにする方法が考えられます。すなわち、「外国における商標権者と我が国の商標権者とが同一人であるか又は法律的若しくは経済的に同一人と同視し得るような関係」を要求しているので,この関係を絶つという方法です。
この方法のリスクは、そもそも、外国の権利者等が応じてくれるのか、という点が最大のネックです。交渉して、応じてくれればいいのですが、応じてくれない場合、別の方法を考えていく必要があります。
以上の方法は、並行輸入品を商標権侵害とする方法でした。
次に、「並行輸入を止めさせたい。行き過ぎた並行輸入阻害はどのようなものか。 その1」では、販売の側面から検討したいと思います。この側面では、独占禁止法が絡んできます。