社内(採用を含む)での男女差別
採用段階を含めて、男女差別が禁止されています(男女雇用機会均等法5条)。
具体的に、どのような差別が禁止されているのでしょうか?
禁止される具体例を挙げていきます。
(1)性別による直接差別の例
①募集・採用段階
×「総合職(男子)募集」「営業マン」「セールスレディー」「女性歓迎」
×「男性40歳、女性30歳まで」「女性は未婚者(優先)、自宅通勤者(優先)」
×女性のみ採用試験を実施
×「大卒男性70人・大卒女性30人」
×会社案内を男性に優先的に送付
このような差別は許されていません。
②配置
×「営業、秘書の職務を男性または女性のみとすること」
×「時間外労働、深夜業の多い職務への配置に当たって、男性労働者のみとすること」
×「女性労働者についてのみ、婚姻したこと、一定の年齢に達したこと又は子を有して
いることを理由に、特定の業務の職種への配置の対象外とすること」
③昇進
×「女性労働者についてのみ、役職への昇進の機会を与えない」
×「一定の役職に昇進するための試験について、受験資格を男女のいずれかに対してのみ
与えること」
×「課長への昇進に当たり、女性労働者について課長補佐を経ることを条件にし、男性労
働者について条件としないこと」
④降格
×「営業成績が悪い者について降格の対象としつつ、男性労働者については営業成績が最低
の者のみを降格の対象とし、女性労働者について営業成績が平均以下の者を降格の対象とす
ること」
×「一定の役職を廃止する際、降格の対象となる労働者を選定するに当たって、男性労働者
よりも優先して、女性労働者を降格の対象とすること」
⑤教育訓練
×「一定の職務に従事する者を対象とする教育訓練を行うに当たって、その対象を男女のい
ずれかのみとすること」
×「女性労働者についてのみ、婚姻したこと、一定の年齢に達したことを理由に、教育訓練
の対象から排除すること」
×「教育訓練の対象者について、男女で異なる勤務年数を条件とすること」
⑥福利厚生(各種資金の貸付けなど)
×「男性労働者のみ、社宅を貸与すること」
×「女性労働者についてのみ、婚姻を理由とした社宅の貸与の対象から排除すること」
×「住宅資金の貸付けに当たって、女性労働者に対してのみ、配偶者の所得額に関する資料
の提出を求めること」
⑦職種の変更(たとえば、一般職から総合職)
×「職種の変更について、その対象を男女のいずれかのみとすること」
×「職種変更について、制度上は男女双方を対象としているが、男性労働者については職種
の変更を認めない運用を行うこと」
×「女性労働者のみ、子を有していることを理由に職種変更の対象から排除すること」
⑧雇用形態の変更(パートから正社員への転換など)
×「有期契約労働者から正社員への雇用形態の変更の対象を男性労働者のみとすること」
×「女性労働者のみ、婚姻を理由に、正社員への雇用形態の変更の対象から除外すること」
×「雇用形態の変更のための試験の合格基準を男女で異なるものとすること」
⑨退職勧奨
×「女性労働者のみ、経営の合理化のための早期退職制度の利用を働き掛けること」
×「女性労働者のみ、子を有していることを理由に退職勧奨をすること」
×「男性労働者よりも、優先して、女性労働者に対し、退職の勧奨をすること」
⑩定年
×「男女で異なる定年年齢にすること」
⑪解雇(有期契約労働者の雇止めを含む)
×「解雇に当たって、その対象を男女のいずかのみとすること」
×「解雇に当たって、男女で異なる条件を設けること」
×「解雇に当たって、男女のいずれかを優先して解雇対象とすること」
⑫労働契約の更新
×「契約更新に当たって、対象から男女のいずれかを排除すること」
×「契約更新に当たっての条件を男女で異なるものとすること」
×「契約更新に当たって、男女のいずれかを優先すること」
(2)間接差別
間接差別とは、
①性別以外の事由を要件とする措置であって、
②他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるものを、
③合理的な理由がないときに講ずること、
とされています。
×「労働者の募集・採用にあたり、労働者の身長、体重又は体力を要件とすること」
×「荷物を運搬する業務の職務について、必要な筋力以上の筋力があることを条件とすること」
より詳しい具体例及び理由、例外として認められる場合は、
厚生労働省大臣が定めた指針に記載されているので、
こちらをご覧ください。
なお、指針をご覧になっても、微妙な事案はあると思います。その場合は、弁護士に
相談しながら、勧め、将来の紛争を予防するのが得策と考えられます。